I-001-Protocolねこ/幻誘桜:幻影を見せる桜

この報告書は現在削除済みです。

研究担当:第零生物研究支部

幻誘桜 危険度:XXX

外見

標準状態では一般的な桜の木と同等枝や花弁に微細な動きがあり、周囲環境や接触者の心理状態に応じて変化根元に微弱な空間の歪みが存在し、枝先の動きと連動する

生態

✕✕県✕✕市の✕✕山に、I-001-Protocolねこが生存していることが確認されてます。現在確認されている個体は1体のみです。

本生物に近接すると、以下の異常が確認されます。

・認識攪乱:時間感覚・記憶順序・行動選択の錯乱

・環境誘導:移動経路や視界の制限

・心理依存形成:接触者が無意識に生物へ注意を集中する傾向

直接的な攻撃能力は低いが、心理的依存や集団意思決定攪乱を通じて間接的に危険性を発揮するため半径1km範囲に入ることを禁止されてます。この生物は危険と判断した対象には枝・花弁・根を使い間接的に退去や混乱を誘導します。

一ノ瀬研究員失踪

一ノ瀬凛は、幻誘桜の一時的観測者で唯一の接触者でした。

幻誘桜に近接した際、時間感覚の錯乱・心理的依存・判断力偏りが確認されました。

翌日、一ノ瀬凛は所定の時間に現れず、通信・記録も途絶しました。

捜索時、装備・観測端末は現場に残され、争った形跡はありませんでした。

幻誘桜自体は通常状態を維持し、直接的な異常事象は確認されませんでした。

失踪は、段階的誘導による自発的行動消失の可能性が高いと推定されます。

現在、一ノ瀬凛は捜索中です。

失踪事件のその後

一ノ瀬凛は失踪から██日後、✕✕山山中にて発見・保護されました。

発見時、生命兆候は安定しており、外傷は確認されませんでした。

ただし、精神状態および認識機能に複数の異常が確認されましたが、数日後に回復しました。

・発見時の状況

一ノ瀬凛は、幻誘桜の生息地から一定距離離れた地点で、座り込んだ状態で発見されました。

本人は抵抗や混乱を示さず、捜索隊の存在を「当然のもの」として受け入れていました。

所持していた装備は最低限で、観測端末は携行していませんでした。妖刀生は、さらに数日後に発見されました。

不可視生物生態研究室の判断

不可視生物生態研究室の判断により、一ノ瀬凛の幻誘桜への再接触は禁止されました。

研究および観察における危険性を考慮し、端末からの幻誘桜に関する情報へのアクセスも禁止されました。

補遺1[一ノ瀬凛が残した非公開メモ]

以下は、一ノ瀬凛が保護後に個人端末へ残していた未提出メモの抜粋である。

「怖いとは思わなかった」

「考えが途中で止まらない感じがした」

「選ばされている感覚はなかった」

「“帰っていい”と思った瞬間があった」

「あの桜は、こちらを急かさない」

「待ってくれる」

「ずっといれば、何かを決めなくてよかった気がする」

補遺2[再接触未遂事件]

概要

一ノ瀬凛は保護から██週間後、

幻誘桜の生息地に近い区域へ無断で接近を試みた。

本人は明確な目的を説明できず、

「確認したいことがある気がした」と述べていました。

発生状況

移動途中で同行職員が異変を察知し制止

一ノ瀬凛は強い抵抗を示しませんでした。

結果

再接触は未遂に終わりました。

処置

接触制限の強化

定期観測頻度の引き上げ

桜・花・山林に関する刺激の制限

一ノ瀬凛は、第零生物研究支部の異動することが決まりました

補遺3

決定事項

幻誘桜に関する記述は、段階的に公式管理文書・公開可能資料・教育用記録から削除された。

本決定は██年██月、中央管理委員会の承認をもって実施された。

理由

1再現性の欠如

幻誘桜は単一個体のみ確認されており、

追加個体・拡散・増殖の兆候が一切見られな   かった。

再現可能な実験条件が確立できず、

長期的研究対象としての優先度が低いと判断。

2直接的危険性の低さ

明確な攻撃行動・致死的影響は確認されていない。

影響は主に心理・認識領域に限定され、

発現規模も軽微かつ一過性と評価。

3管理コストとリスクの不均衡

継続的監視が必要である一方、

得られるデータ量が極めて少ない。

不要な関心・接触を誘発する可能性が指摘された。

以上の理由により、

幻誘桜は「管理対象としての意義が低い存在」と再分類され、

公式文書からの削除が妥当と判断された。

補遺4[黒崎恒一のメモ]

幻誘桜は「危険ではない」から削除されたのではない。

説明できないまま、影響が残る存在だったからだ。

幻誘桜は、存在を明確に定義し続けることで

観測・再接触・思考の再誘導を招く可能性があった。

文書に残し続けること自体が、

影響範囲を維持・拡張する行為であるとの意見が提出された。

結果として、

「研究する」よりも

「忘れることを選ぶ」

という、異例の対応が取られた。

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