私は時々本屋に行ってはなんの興味もない本を買い、その日のうちに読了するという行為をする。ある時は知らないゲームの攻略本、またある時は好みでない絵柄のマンガ、またまたある時は目を閉じたまま取った海外小説。と言ったふうである。
今日は生物の図鑑を買った。タイトルは虹倉発見生物図鑑。ピックする生物の数は少ない癖に一匹ごとの文章量が多く、非常に読みたくない。最後の一行を読む時にはもう見た目と生息地を忘れてる。
オオダマヒトデ、アオハシネズミ、ギニアセシマアリなどがいるなか六番目にそいつはいた。
『ソゲマギ』
分類 生物
生息地 空間
生態 いる
なんだこれは。なんなんだこれは。ほぼ書いてないと同義じゃないのか?生物なのは当然だし、生息もそんなこと言うなら時空に棲む生物がいるって言うのか?いるってなんだよいるって。ふざけてんのか。
さて、文句はここまでにして私は正直このソゲマギにそこそこ興味が湧いた。他の生物の書き込みようからして著者のおふざけや与太にしては不自然だし、何よりこれ以外にソゲマギについて書いたものがない。この本に書かれた生物のいくつかは同じく初耳だが、ネットで検索すれば画像や論文が数件ヒットする。なのにソゲマギは何もヒットしない。狙撃とか似た名前のアニメとかが出るばかりである。まるで無い言葉かのように。
それで私は案じた。私がソゲマギについて調べ、本にすればいいじゃないか。そうすれば私のこの知識欲も満たされるし、ソゲマギに関して読者諸君も知れる。(ついでに締切に追われることもしばらく無くなる)
言い忘れていたがこの本は決してファンタジーやSFではない。ソゲマギを巡るミステリーでありノンフィクションエッセイである。
以上は小説家白老気球(本名白老敬介)の仕事部屋に置かれた原稿用紙の内容です。これを書き、担当編集に「駿河湾に行くけど一緒に来るか?」とメッセージをした後失踪しました。
虹倉発見生物図鑑については、白老気球の家では発見されず、どの図書館、書店にも所蔵が確認されませんでした。
考察としては、虹倉発見生物図鑑が本型の超擬態生物である説、『ソゲマギ』が自身の存在を認知、探求した者を獲物とする不可視生物である説、白老気球が作った架空存在及び怪文書である説などが挙がっていますが、真相は判明していません。
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