
名称
通称名
トレイトスティーラー
学名
Gladius rapiens
分類
基本的四分類
超擬態生物→Artificial
↳備考
A─0001─DAWN/バレットプッピーの初発見からArtificialの運用が開始されて間もなく、暫定的に超擬態生物に分類されていた本種もその対象にして問題ないという結論が下されました。
生物学的分類
未制定
系統発生
初発見を参照
危険度
敵対性
X
潜在脅威性
XXX
総合危険度
XX→XXX
↳備考
生物そのものが有する敵対性は皆無ですが、後述する外見や特性を鑑みれば用法によってXXX相当の被害を及ぼす可能性は高いとされます。
また、本種はArtificial分類でもあるが故にその製造法が漏洩すれば他機関の武力増強に繋がるリスクもあるため、XXXへの区分が適当であると結論付けられました。
特徴
外的形質
個体差が顕著ですが、概ね中世ヨーロッパで用いられていたような刃物武器の表現型を示します。

↳備考
珍しい武器としての外見をした本種は一定数のコレクターから需要があり、これまでにはソードブレイカー型が250万円で落札されたこともあります。1
内的形質
参考種と共通する原理によって刃部位からの養分吸収を可能としています。
特に、不可視生物由来の物質であればより迅速な吸収を可能とします。
生態
分布
現在は、当支部が管理中の15本と団体や個人に売買譲渡した6本を合わせた21本のみが確認されています。
しかしながら、総轄部門のデータ上では30本が製造されたと記録されているため、残る9本は現在も行方不明になっています。
適正環境
基本的に錆や血潮などの刃磨きは必要ありませんが、本物の武器と同じように保管することを推奨します。
成長
[機密保持のために記載されません]
食性
不可視生物由来の血肉や体の一部を摂取します。
時間帯別行動性
平常時は休眠状態にありますが、使用者がその柄を握ったり刃の部分に捕食物が付着した段階で覚醒します。
覚醒状態は、その要因が消えてからも数分維持されます。
↳備考
休眠状態と覚醒状態の見分け方は、剣身に浮き出るルーン文字2により判別できます。
ᛞの紋様が出ている間は覚醒状態であることを意味します。
繁殖
繁殖は行われません。
特殊能力
本種は、その名が示す通り“不可視生物の不可視性を収奪する”という特性を有します。
収奪は本種が対象とする生物の部位を僅かでも吸収することにより実行されます。
複数の不可能性を有する対象から収奪を行う際には、無作為に不可視性を獲得します。
それにより、本種は場合によって無気配性や完全透過性、超擬態性や異次元性を付与されます。
| 収奪した不可視性 | 発現する効果 |
| 無気配性 | 本種の携帯が他者から認識され辛くなる。 |
| 完全透過性 | 使用者の任意で本種の剣身を透明化させることができる。 |
| 超擬態性 | 本種の擬態性が向上し、一見すると何の変哲もない西洋の武器のように見える。 |
| 異次元性 | 使用者の任意で本種を自身の異次元領域に収納させられる。3 |
また、能力を獲得する際には以下のようなパターンで剣身に新たなルーン文字群が刻まれます。
| 収奪した不可能性 | 剣身に現れるルーン文字 |
| 無気配性 | ᛈ 、ᛁ |
| 完全透過性 | ᚨ 、ᛚ |
| 超擬態性 | ᛞ 、ᛈ |
| 異次元性 | ᚦ 、ᛖ |

原則として、本種は最大5つまでのルーン文字しか自身の剣身に刻めません。
つまり、ᛞと合わせると最大2つまでの不可視性までしか得られないことになります。
既に枠が埋まっている際は収奪のプロセスが失敗します。
また、これらの行動により不可視性を奪われた生物は、本種の覚醒状態が中断されるまで強制的に可視状態になります。
| 失われる不可視性 | 対象への影響 |
| 無気配性 | 存在を知覚されるようになる。 |
| 完全透過性 | 完全透過状態が解除される。4 |
| 超擬態性 | 擬態元姿を崩し、周囲から認識される。 |
| 異次元性 | A.D.Lによるものと同じような影響を受ける。5 |
不可視性が収奪された対象は、その要因となる本種の個体を破壊しない限り永続的にその状態を維持します。
↳備考
完全透過性生物の捕食において、透明性の収奪は可能でしたが物質の透過性の奪取は不可能でした。
茄水支部で研究されているT-0002-nasubi/スィンタラフガトのような物質を透過している状態の対象への干渉は全て失敗しています。
初発見
本種は当支部旧体制の総轄部門において、本部で研究されているC─0003/ヘムーヴァを参考にした生物兵器開発プロジェクトの最中に射幸的に開発されました。
記録を閲覧(Bクラス機密)
アクセス認証完了……
日時︰[編集済]
地点︰東雲支部第三研究室
目的︰A─0002─DAWNの製造
登場者︰研究部門部員A、B、C、D
付記︰登場者の名前については匿名化されています。
この映像は当支部旧体制の時代に監視カメラによって記録されていました。
当事の本種の識別番号はC─0006─DAWNでした。
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[映像開始]
[研究部門の第三研究室が映し出される。空間中央の台座の周りに研究員A、B、C、Dが確認できる]
研究員A︰さて……記録装置はセットできたか?
研究員B︰(首肯)
研究員A︰相分かった。それでは、時刻[編集済]を以てC─0006─DAWN製造実験を開始する。
……まず、原型となる武器種としてナイフと両手剣を用意した。
研究員C︰……ルーン刻印、いつでも開始できます。
研究員A︰ではC、早速やってくれ。
研究員D︰……こんな材料で本当に出来るのか?
研究員A︰願わくば生物兵器の開発なんて失敗して欲しいところだが……あぁ、今の部分はカットしといてくれよ。
研究員B︰……私の仕事を増やさないでくださいよ。
[研究員Cが工程を開始する]
研究員A︰さて、どうなるか……
研究員D︰俺は全部失敗するに三百円賭けます。
研究員A︰金欠かよ。じゃあ俺は両方が成功するに2000円。
研究員D︰えぇ……?随分大穴狙いますねぇ。
研究員C︰ま、やるだけやってみますけどね……結果の記録だけ残せるくらいには頑張りますよ。
研究員A︰これも鎮圧とか人殺しの為に作るんだよなぁ……
ルーン刻印とか良く分からんモノに頼るなんて、御上も余程耄碌してるらしいね。
研究員B︰……記録内で色々喋るのはやめてくださいよ。
研究員D︰大丈夫さ。他の所でも実験中に文句ばっか言ってたけど、改竄しとけばバレないってよ。
研究員A︰つくづく研究機関としてチェック管理が酷いな……隠蔽し放題じゃないか。
研究員D︰いっそ開発成功したら革命派にでも流すか?
研究員B︰……何言ってるんです?そのまま成果として報告するに決まってるでしょう。
研究員A︰別に良いんじゃないか?どうせ今回に限れば御上だって大して重要視してない駄目元の計画だろう……
ここの全員が偽っていれば気付かれないだろうし、無茶苦茶な命令をしてくる奴等への嫌がらせとしてはピッタシだ。
研究員D︰まぁ、それも捕らぬ狸の皮算用だがね。
ただの武器にルーン刻印と[編集済]を[編集済]するだけで生物武器が作れたら苦労はしねぇよ。
[その時、研究員Cが眩い光に包まれ、驚声を上げる]
研究員D︰なんだ!?
研究員C︰(ナイフと両手剣を確認する)
研究員A︰……まさか
研究員C︰……なんか、完成できちゃいましたね。
〈記録終了〉
記録を閲覧(Aクラス機密)
アクセス認証完了……
日時︰[編集済]
地点︰開発記録と同様
内容︰開発に成功した本種の処遇に関する会話
登場者︰開発記録と同様
付記︰開発記録と同様
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[映像開始]
[研究室が映り、険しい表情の研究員A、B、C、Dが見られる]
研究員A︰……賭けの2000円は置いといて、取り敢えず私は革命派に流すに一票だ。
出来ちまったからには中央派に渡す訳にはいかないし、運が良ければ支部外にも出れるんだ。
研究員C︰私もAの意見に動議しますよ。……ただ、革命派と言っても漸進派への届け出を提案しますがね。
維新派は過激で拙そうですから。
研究員D︰まぁ、俺もかね。いい加減、こんな泥舟からは降りたいもんだし。
研究室に監禁されてないで、さっさと日光を浴びたいよ。
研究員B︰……皆さん、正気なんですか?
研究員A︰至って正気だよ。いざとなれば俺が全部の責任を被る覚悟だってある。
研究員C︰……私もいい加減爆弾やら生物兵器やらを作らされるのは御免です。
こんなことをするために研究者になったんじゃない。
研究員D︰あ、それなら俺は革命派に渡すルート知ってるぜ?
ほら、支部内ラジオで聞いたんだよ。
研究員A︰ほぅ?そいつは是非とも教えて貰いたいが──
研究員B︰……もうやめてください。
……いい加減にしろって言ってるんだ。
研究員A︰(顔を顰める)おい、どうしたんだ?B。
さっきから随分と中央派の肩を持つじゃないか。……前は中央の愚痴だって吐いてたのに。
研究員D︰……いや、待てA。Bから離れた方がいい。
研究員A︰──は?何言って
研究員B︰(拳銃を取り出す)
研究員A︰はぁ!?何のつもりだよ!?
[研究員Dも咄嗟に懐から護身銃を取り出す]
研究員C︰……B?今ならまだ引き返せるんだ、さっさとソレを降ろしてください。
研究員B︰……既に音声証拠は御上に送信済です。命があると思わないでください。
研究員C︰(驚愕)そんな……中央派に魂を売ったんですか!?
研究員B︰言ったじゃいですか、私の仕事を増やさないでくださいよって。
大人しく黙って上納しておけば死なずに済んだのに、これだから凡愚は困るんだ。
研究員A︰おい、なにをしようして……やめろ!銃をこっちに向けるな!おい!
研究員B︰黙れッ!
[研究員Bが発砲し、研究員Aが即死する]
研究員D︰(椅子から飛び出す)クソったれ!イカれてる!
[研究員Dが咄嗟にソードブレイカー型の完成品を掴んだ後、台座に隠れ、研究員Bの方向に発砲する]
[研究員Cも、弾丸を掠めながらその横に隠れる]
研究員C︰そんな……Aさんは……!?
研究員D︰アイツはもう駄目だ……ヘッドショットだからな。
……にしてもまさかBが洗脳済みかよ(発砲する)
研究員C︰ど、どうしますか……私は銃を持ってない!
研究員D︰……取り敢えずナイフの方は回収した。
これはお前が持っておけ。……頭ん中の製造法と一緒にだ。(研究員Cにソードブレイカー型の完成品を渡す)
研究員B︰(無線機を取り出す)こちら第三研究室からB。先程の証拠を確認されたし、至急応援求む。
研究員D︰いいかC、完成品を担いで逃げろ。
どこでもいいから、少なくとも中央派の手には届かない場所にだ!
研究員C︰で、でもDさんが
研究員D︰……さっさと行くんだよ!ここで死にたくないならな!
研究員︰……ご武運を
[研究員Cが完成したC─0006─DAWNを担いで裏口から脱出する]
研究員B︰(舌打ち)無駄なことを……
《記録終了》
補記︰
研究員Dは研究員Bとの戦闘中に弾丸を受けましたが、中央派の増援により捕縛された後の情報は分かっていません。
開発に成功した両手剣型の本種の行方も不明です。
また、研究員Cも逃走中に警邏ドローンにより銃創を受けましたが、革命派漸進層の関係者に完成品と製造法を言い渡した後に匿われ、一命を取り留めました。
補遺A
本種に関しては現在の中央管轄室がその製造法を把握していますが、その特性を踏まえた上で更なる増産計画は無期限に凍結されています。
トレイトスティーラーの危険性とは、なにもその武器としての能力に由来するものではない。
『不可視生物から不可視性を奪う』
これこそが真の脅威なのだ。
知られない方がいい真実を、あの剣は容易く暴いてしまう。
そして、そのグリップは常に過ちを繰り返す人間に握られている。
製造法は最大級の機密にしなければならない。それが余りにも容易ならば、尚更のことである。
──中央管轄室員イプシロン
補遺B
これまでに本種が原因となって不可視性を喪失した不可視生物は多く存在するとされ、それらの個体の殆どは現在も何処かに潜伏しているとされます。
万が一そうしたものと思われる個体が発見された際には、当支部へ御連絡ください。
関連
・東雲大革命[現在ロック中]
不可視生物生態研究室︰東雲支部
[入札]
現在はオークション等による売買は特例を除き制限されています。また、譲渡に当たっては必ず機密保持契約が交わされています。 ↩︎
[ルーン文字]
ルーン刻印は魔術的な意味合いを有しますが、これは本種の特性の根幹となるものではありません。あくまで、目印として刻印されています。 ↩︎
[異次元への収納]
この領域には本種のみが入ることが出来ます。また、内部において覚醒状態から休眠状態へのカウントダウンは500分の1に延長されます。 ↩︎
[完全透過性の解除]
障害物を透過して移動するような生物はそれが不可能になります。また、収奪された段階で物体と重なっていた場合、その部分の肉体が消滅します。 ↩︎
[異次元性の収奪]
本部で研究されているI-0001/ウラノヨタヌキのような肉体の一部のみを基底次元に顕現させる対象から収奪した場合は、次元間の接続が切れるためそのまま切断されます。 ↩︎
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