P-0002-neyjitsu/ブレイヌフィナ:何を考えているのでしょうか

研究日誌

以下は当レポート執筆者、桑木 夕による研究日誌です。

20██年3月11日
東京都██区を中心としてプリンターが勝手に起動し、ブレイヌフィナについて詳細に記された文書が印刷される事案が発生。
概ねの内容は寧日研究室支部のレポートと酷似していたが、この文書がブレイヌフィナの脳内に存在する世界で作成されたものであるという主張が含まれていた。
私が所属する寧日研究室支部でも話題になっていたが、おそらくは暇を持て余した研究員によるただの悪戯だろう。

20██年3月12日
プリンターの事案が発生する地域が少しずつ変化をしているそうだ。
まるで生物の移動だといわれているらしいが、根拠はないだろう。

20██年12月20日
半年前のプリンターの事案はまだ続いているそうだ。
犯人にはそんなに暇ならうちの支部の手伝いでもしてほしいものだ。

20██年1月16日
やっとプリンターの事案が終わった。
流石に飽きたか。

20██年1月18日
研究の為、東京都に訪れていた本部の空見 サクラ研究員が偶然ブレイヌフィナの死骸を発見したそうだ。
なぜ今発見された?
発見例が少ないためあの事件の犯人が死体を用意するのは難しいはずだ。
何が起こっているのだろうか。

20██年1月19日
ブレイヌフィナの死因が解剖により判明したそうだ。
老衰だったらしい。

20██年1月20日
世界に移動する局所的に空間が安定している部分があることが判明したそうだ。

20██年1月29日
ブレイヌフィナの中で最初に真実に気が付いた人はどんな気持ちだったのだろうか。
ブレイヌフィナについての情報を外の世界に遺そうとした研究員はどうしてそうしたのだろうか。
考えるだけでも心が押しつぶされる。

20██年1月31日
空間が安定している部分の範囲がブレイヌフィナの視界と一致することが判明した。
信じられない。
こんなことになるなら支部長に相談しなければよかった。

20██年2月1日
今日は公園でアイスクリームの出店を見かけたので買ってみた。
南国のフルーツ味。500円。
常在未視果もこんな味なのだろうか。

20██年2月2日
鉄 昼研究員が自身の犬を撫でさせてくれた。
可愛かった。

20██年2月3日
帰りにゲームセンターへ行った。
眠気が覚めてしまったが楽しかった。
明日はよく眠れるだろうか。

20██年2月4日
ドロンプを見た。
これも可愛い。

20██年2月5日
████支部が超異次元高速光転移を用い銀河の外での天文観察を行うそうだ。
宇宙の外を見るのが目標だとか。
星は好きだ。楽しみに結果を待つ。

20██年2月6日
人生で初めてお好み焼きを食べた日のことを思い出した。
また食べたい。

20██年2月7日
████支部の天文観察の結果、宇宙の外側に巨大な骨のようなものが発見されたそうだ。

20██年2月10日
もう天文観察をやめてくれ。
お願いだ。

20██年2月12日
████支部の天文観察の結果、骨のようなもののさらに外側には動物の肉のようなものがあることが分かったらしい。
████支部の連中は頭のおかしいバカばかりだ。この天文観察で我々が行き着く結果は明白だろう。こんなことを知って何になるのだろうか。
やめろ。
知りたくない。

20██年2月17日
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろいやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ

20██年3月21日
████支部の天文観察の最終結果が出た。
宇宙の外には全てが巨大な別の世界が存在しており、この世界は動物のような形をしているそうだ。
その形がブレイヌフィナと一致することが判明した。

20██年3月22日
全部、分かっていたはずだ。
最初から、僕は、きっと。
なのに、逃げてしまった。
怖かったから。自分勝手だった。

あの世界の人々が外に情報を遺した理由。
分かった。
ようやく気が付いた。

私たちにはやるべきことがある。

20██年3月2日
外の世界にこの世界の情報を送るプロジェクトが立ち上がった。
████支部の人達も協力してくれるようだ。
酷いこと書いてごめんなさい。

20██年12月23日
私の研究日誌が外の世界に送る記録に選ばれた。
光栄なことだ。

最後に、あの方に恩を返したい。
不可視生物生態研究室本部の室長、観野 小金さんだ。
彼女は大人の気品がある素敵な女性で、自身の研究分野を馬鹿にされても寛大な対応をしていたことを記憶している。そんな彼女の姿は、いつも私の中の完璧な研究員の見本だった。
この世界は外の世界の再現。つまり、似たような人物が存在してるはずだ。
この日誌を読んでいる貴方にはぜひその人に死ぬほど苦いコーヒーを奢ってあげてほしい。彼女の大好物だ。きっと喜ぶだろう。
これが私にできる最後の恩返しなのだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました