T-0831-forest/夏の終わりに溢れ出す記憶

耽る風鈴魚「カンショウオ」
別名:「レイショウオE」
危険度:XX

[分布]
景色の良い海辺、田舎の一軒家、夏季の大きな祭事等、所謂「エモい」と表すような特定の環境下で現れる
特に夏の終わりの時期に急増し大規模生息域:常夏にも発見情報あり

[容姿]
体長約1m、チョウチンアンコウを細長く伸ばしたような体型と夕立の海景色を思わせる暖色でカラフルな色合いの魚、頭上には長い触角とその先に風鈴に似た丸い突起物

[生態]
特定のロケーションで休んでいる人を見つけると頭の触角を揺らして突起物から特殊な音波を発し、聞いた者に昔からの思い出を想起させ感傷に浸らせます
そうして動けなくなった者に近付き、暫く周囲を漂って獲物の様子を見た後大口を開けて頭から帽子を被るように噛み付き、感傷によって湧き出た感情を脳からじっくり吸い取ります
完全透過性の為痛みも無く脳への障害は殆ど確認されませんが音波の効果は人それぞれであり、場合によっては感極まって号哭したり過去のトラウマごと想起した事で強い精神負荷が生じる危険性があります、またこうした捕食行為はこの生物が満足にエネルギーを吸い取るまで長時間この場に留まらせられる可能性もあります

[捕獲方法]
特定の場所で完全透過性を看破すると空中に漂い獲物を待ち構えている姿が確認されます、危険を察知すると触角から音を鳴らし幻惑させて逃げようとする為耳を塞ぐ等音の対策をして捕獲にあたりましょう


[特記事項]
・後に調査した所この生物はレイショウオの派生種ではないかと推測され、その生物を研究している頭狂支部と話し合いを行った後新たに「レイショウオE」を登録する運びとなりました
ご協力頂いた頭狂支部の皆様には大変感謝致します、お礼にヒョウレンの花弁(クーラーボックス付き)と便利屋の依頼料金割引クーポン(研究員限定スタンプカード付き)を贈呈させて頂きます
お互い不可思議なご縁がありますように

・因みにお盆休暇中で常夏を訪れていたF班の瑙乗、翠道、翡奈の三名がこの生物に遭遇し被害を受けたのをきっかけにこの生物を発見しています(尚この三人が今期の休暇中に不可視生物への干渉を受けたのはこれで三度目となります)
以下はカンショウオによって受けた被害の一部記録です
翡奈…ある不可視生物によって髪が染められる前の中学生の夏休み、当時の友人達と共に某田舎地方の向日葵畑で遊んでいた記憶を突如想起され感極まり号哭、その場で座り込みカンショウオに噛み付かれる
翠道…まだ幼い妹の翡奈と手を握り初めての夏祭りに行った小学生の夏休み、親と一緒に射的や金魚掬いなどで遊んでいた記憶を想起され一筋の涙を流しながら感傷に耽り以下同文
瑙乗…学生時代に某田舎地区の夏祭りにて後の妻となる幼なじみとの再開、彼女とのひと夏の思い出を想起される
その後影響は止まらず思い出が数十年後まで走馬灯のように溢れ、最後は[瑙乗の希望により以下の文は検閲されました]
過去のトラウマを刺激された事で拒絶反応を起こし感傷状態を自力で看破、スタンハンドルでカンショウオの駆除を行った
こうした被害と瑙乗の意見を受け、この生物には予想外の危険性を孕んでいると見做し危険度を当初予定のXからXXに変更、特に思い出したくない過去を抱えている者にはこの生物に近付かないよう注意し、必要あらば駆除を行っても構わないよう呼びかけています

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