I─0003─DAWN/ハナダミンミンゼミ“惰眠を貪る空蝉達”

名称

ハナダミンミンゼミ

学名︰Hyalessa caerulea

分類

基本的四分類

異次元生物

生物学的分類
界不可視動物界
門節足動物門
亜門六足亜門
下門異次元下門
綱昆虫綱
目カメムシ目
亜目セミ亜目
科セミ科
属ミンミンゼミ属
種ハナダミンミンゼミ

危険度

CLASS EIGHT

項目LEVEL
直接加害性1
間接加害性2
多種敵対性3
汚染媒介性4
知的思考性2
群発繁殖性4
対応困難性3
環境適応性3
総合危険度

XX

↳備考

後述する人間への精神干渉は実践意欲を放擲させ、深刻化した場合は無為徒食の症状へと悪化させます。

これは、特定の行動に附随する将来的な成果を抛棄させるものであるため、XXへの区分が妥当であるとされています。

系統発生

160〜200年前に異次元素の影響によって発生した、ミンミンゼミ(Hyalessa maculaticollis)の亜種であると推測されています。

特徴

外的形質

原種と概ね酷似した表現型をしていますが、頭部と胸部については印象的な縹色になっていることが確認されます。

I─0003─DAWNのスケッチ

↳備考

生存競争の観点で見ると縹色は空色と酷似するため、飛行中に鳥などの天敵から捕食されるリスクを減らすために役立っていると示唆されます。

内的形質

発声筋が原種よりも発達しています。また、異次元領域への発露に際して負的影響を及ぼしにくい体内構造をしています。

生態

分布

当該生物は日本の近畿地方南部に幅広く生息します。

適正環境

広葉樹性の山林を棲息の適地とする傾向にあります。

近年は都市部にも進出してきており、屋内で鳴き声が聞こえることも珍しくありません。

成長
発育的成長段階期間
卵約10カ月
幼虫約4年
成体約1ヶ月
食性

幼虫は寄生樹木の道管液を摂取し、成虫は葉食と後述する特殊能力により栄養を確保します。

時間帯別行動性

一律して昼行性であり、日没に際して体内のエネルギーを用いて異次元に遷行し続けます。

↳備考

本種は青空が見えない曇天や雨天の日などにおいても、積極的に異次元への遷行をする傾向にあることが判明しました。

恐らく、晴天以外の状況下ではその体色が自然界において目立ってしまうからであると示唆されます。

繁殖

原種に近似した繁殖行動を行いますが、より大きな鳴き声でアピールできるため番が築かれやすいとされます。

また生殖の際に雄から雌へと貯蓄されたエネルギーが分け与えられることが判明しており、それにより一度で多くの卵を産卵します。

特殊能力

本種は体内の発声筋に特殊な器官が併合しており、これが及ぼす高周波の音波が生物への特殊な作用を齎します。

その主な効果として挙げられるのは、物事に対する気力の吸収です。

「ミーンミンミンミンミン」と合わせて「ツーキツキツキツキツキ」という鳴き声が織り交ぜられている際は、まさしくその習性に該当します。

単独による鳴き声を数回聞いただけでは体感できる程の効果は現れませんが、群体による蝉時雨などは短時間であっても忌避感を催します。

そして、これらの鳴き声を聞いた対象は大抵の場合接近を控え、巣穴や屋外に籠ることを選ぶようになります。

また、これは先述した通り“吸収”であるため、本種は様々な対象から奪った気力や根気を自身の栄養として還元する能力も有しています。

栄養はそのまま同じ器官に貯蓄され、危機に曝された際に異次元へ遷行するための燃料として、或いは食料に困窮した際の養分として用いられています。

夏場の家の中には、外出の決意を挫くような蝉時雨が木霊する。

奴儕はランナウェイ説の産物たる鳴き声を逆手に取り、今や我々の惰眠を貪り糧としている。

だが、だからといってどうこうする術もないのだ。

故に私が研究を放棄して惰眠することも仕方ないのである。きっとそうなのだ。

──トワイライト研究部長

初発見

当支部の調査チームが、謎の奇声がするという報告を受けて赴いた▓▓県の山林にて発見しました。

捕獲方法

虫取り網では困難ですが、捕獲記録2より古間/マンデマダラ対策支部で開発されたA.D.Lを希釈化させたものなどをスプレーに入れて吹き掛けることで容易になることが判明しました。

捕獲記録1を閲覧

日時︰20▓▓/▓▓/▓▓

地点︰▓▓山

目的︰野生のI─0003─DAWN個体の捕獲

実施者︰オーロ調査部長

付記︰映像はボディカメラにより撮影されました。

また、実施者は標準的な虫取り網を装備していました。

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[映像開始]

[画面奥部の桜の木にI─0003─DAWNが止まっており、カメラが段々近付く]

オーロ調査部長︰(小声で)やっと見つけた……

[その後、カメラはI─0003─DAWNと2m程まで近付き、虫取り網が移る]

オーロ調査部長︰……そらよっ!(網を縦に振り、I─0003─DAWNに被せる)

[しかし、忽ち対象は網の中から異次元に遷行することにより抜け出した]

[その後、再び現れたI─0003─DAWNがオーロ調査部長に尿をかけて消え去った]

 

オーロ調査部長︰…………覚えとけよ

〈記録終了〉

捕獲記録2を閲覧

日時︰20▓▓/▓▓/▓▓

地点︰▓▓山

目的︰野生のI─0003─DAWN個体の捕獲

実施者︰オーロ調査部長

付記︰映像はボディカメラにより撮影されました。

また、実施者は希釈化させたA.D.L入りスプレーを所持していました。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

[映像開始]

[画面奥部のケヤキの木にI─0003─DAWNが止まっており、カメラが段々近付く]

オーロ調査部長︰(小声で)絶対ころ──捕まえてやる……!

[その後、カメラはI─0003─DAWNと2m程まで近付き、虫取り網が移る]

調査部長オーロ︰おらぁ!!(スプレーを浴びせる)

[C─0003─DAWNが明確に異次元へ遷行できなくなり、鳴き声をあげて飛び立とうとする]

オーロ調査部長︰させるか!(素早く網で捕まえる)

やったぁぁあ!遂に成功したぁぁあ!!

 

[その時、隣の桜の木から別のI─0003─DAWNが飛来し、オーロ調査部長に尿をかけて消え去った]

 

オーロ調査部長︰………死ね!!

〈記録終了〉

補遺A

元々、本種は“体が浅葱色だから”という理由で名称が“アサギミンミンゼミ”になる予定でしたが、本部の築館浅葱氏が峻拒したため、似た色合いの縹色に由来した名前になりました。

後日、謝礼として調査部門が抜け殻のサンプルを数十個ほど転送したところ、干からびたキチッパーが返ってきました。

補遺B

発声筋の構造を模して“周囲の気力を奪うメガホン”が開発中です。

不可視生物生態研究室︰東雲支部

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