大規模生息域:反転次元森林地帯

[この域に関する調査記録]
・○日
弊支部にて飼育されていたヒスイハヤブサ(以下ヒスイ)が異次元移動を行った際、この域に存在するネガ調の果実を持って帰った事をきっかけに別次元への調査に乗り出す

・□日
ヒスイにカメラを持たせて異次元移動させた所カメラはこの域の存在を捉えた、これにより未知の次元の観測に成功としヒスイと共に歓喜を分かち合った

・△日
現支部長がこの域を大規模生息域として登録、その後開発部製作の調査ドローンを用いてヒスイに異次元移動を行わせこの域の様子をカメラで記録された、別次元なのに通信が安定して繋がっているのはこの域はこちらの次元と近い所に位置しているからではないかとされている
ドローンの活動限界が近づくとヒスイが回収し一部サンプルを持ち帰って帰還させた

・×日
ドローンのカメラレンズに可視化機能を持たせるよう改良し再調査した所多くの動植物種の不可視生物もこの域に訪れていた事が判明、そこに自生していた常在未視果も持ち帰ろうとしたが近くにあったワスレログサの群生に感知され大量のワスレロ・ビームを放たれてしまいドローンの操作主と観測班に記憶障害が起きた事で今日の調査を中止した
因みに持ち帰った常在未視果もネガ調に反転しており、元の生態とは逆に可視化能力のある者が視えず一般人が視認出来る性質を持っていた(しかもその味は食べられるものではなかった…)
これを受け弊支部はこの域にはこうしたネガ調に反転した元来の生物も存在しているとし、これらを「ネガロ種」と分類する事に決まった

・○○日
この森には見た目の割には土壌性質が潤沢で生態系も安定しており、様々な生物も棲みついている事がわかってきた…その過程で危険な不可視生物達やネガロ種となって凶暴化している生物も確認され、特にロクアシカマキリに狙われた時はドローンが破壊されそうになったがドローンに付けておいたスタンハンドルトラップ型とヒスイの支援のおかげで緊急離脱を経て帰還に成功した
このドローンは弊支部の資金を多くはたいて作られた開発部達の自信作であるため破壊される訳にはいかない……

・○□日
ふとこの森或いはこの次元に端っこはあるかどうか思い立ち、バッテリーの限界までドローンを真っ直ぐ進ませるが数時間かけてもそれらしき光景は見当たらない…ヒスイに取り付けたカメラを見て空撮してもずっと同じような森が果てしなく長く続いていた
もしこんな次元に自分達が迷い込んでしまったらと思うとゾッとしてしまうようだった

・○△日
最近見つけた川の上流を辿れば何か見つかるかと思っていたが未だ景色は変わらず、そろそろ変わり映えを意識しなければならない段階に入ってきた
一方弊支部研究室ではこれまで持ち帰ったサンプルの研究に勤しんでおりその一部を紹介してみようと思う
•バナナと思わしき木から取れた青い果実には毒性を含んでいた、代わりにもう一つのまだ未熟な個体は黄色であり、やはり元来のものとは色々と反転しているようだった
逆にベニテングダケらしき青紫のキノコには毒が無く食用可能だった、しかし元来にあった旨味成分も反転しているらしく味は微妙だった
•杉の木らしき針葉樹から出てくる花粉はなんと花粉症への影響が無くむしろ仄かに大自然の良い香りをしていた、是非この樹を我々の次元にとは思ったが外来種を持ち込むのは違法に当たる等様々な問題があるのでこの話は一旦保留とした
•寒色の岩肌と暖色の地下川に覆われた洞窟で鉱石と思われる物体を採取、その色はオニキスのように黒いが形状からして恐らく白水晶だと思われる、こうした鉱石は本来もっと深い所にあるはずだがそれすらも反転しているのだろうか


・○×日
音声記録---「支部長殿…花粉病に害のある植物とわかった途端すぐ焼却指示を出すのはどうかと思うぞ、色葉部長も火炎放射器を取り付けようとするんじゃない」

・△○日
ついに特筆する事が無くなって来た……これ以上の調査は今の我々では限界かと悟り、ドローンによる調査にひと段落付けるか明日の調査の後会議を始める
最後にこの森の端っこに辿り着けないか再び走り続けてみようかと思う、操作主や観測班達も目に悪い景色ばかり見ていたのにお疲れであった…


・⬛︎⬛︎日

ついにこの次元の端に辿り着いた


その先は薄暗く白い虚無であった


黒い天使白い鯨が居た



・最終日
これ以上この域に我々が関わらない方が賢明だと悟り、この域の調査を予定より早くひと段落付けることになった
如何なる縁を大事にする弊支部と言えど、あれは今の我々だけでは手に余るモノだと直感がそう叫んでいるのだ

……最後までこの日記を読んでくれた調査員の貴方へ、もしこの域を調査するなら「端より向こうに行こうとするな」「空に浮かぶ雲より上に行こうとするな」「この森から出ようとするな」「アレらに接触しそうになったらすぐに別次元に逃げろ」この事項を必ず守って欲しい
この反転した箱庭の外にアレらが待ち構えている、生存に自信のある者以外は絶対に接触してはいけない



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