『重大インシデント:absorption-existance』最終報告書

『重大インシデント:absorption-existance』追加報告書

 2021/9/2追記

閉鎖が確定した榮支部跡地の解体を依頼した会社より、「聞いていた話と違う」という旨の連絡が入った。

担当者と共に確認しに行ったところ、建物は倒壊前の姿であり、外側から見たかぎりはヒビも何もない新築同然であった。

13:16に████支部 特殊作戦部門が建物内部へ突入。

以下、実際に突入したメンバーへのインタビューの一部である。

 [インタビュー者:████支部 研究員 (Aと記載する)
  応答者    :████支部 特殊作戦部門部隊員 (Bと記載する)
  他、本部研究員一名が立ち会う ]


A :一先ずはお疲れ様でした██さん。

B :おう、お疲れ。あんたも他支部の仕事抱えて大変だこと。

A :肉体的疲労はあなたほどではありませんよ。早速ですが……。

B :中の話だろ?榮の支部と一番やり取りして内部を知っているのは俺だからな。……えらいことになってたよ。

A :具体的にはどのような?

B :俺は崩壊前の施設と崩壊後の施設、どっちも知っているから断言できるが……アレは碌なことにならねえぞ。

A :具体的に教えてください。

B :……何一つ変わってなかった。崩壊前とな。

A :建物が、そのまま復活したということですか。

B :建物だけじゃねえ。中にあったいろんな装置とか、防犯カメラだって生きてた!触れるし、電源だって入った。……それに。


[しばらくの沈黙]


A :……それに?

B :……あの、榮支部の生き残りのあんちゃんは居ないよな?

A :ええ。かなり精神的に堪えているようですので倒壊した建物への接近も禁止されていますし、施設が復活したという話も届いていないはずです。

B :なら…………死んだあの三人が、居た。

A :研究員の?

B :何度か話したことはあるし、あの瓦礫から引っ張り出したのは俺らなんだ。見間違えるわけない。確かに、あの三人だった。

A :何かコンタクトは取ってきましたか。

B :いいや、寝ていた。来客の応対にも使うようなソファと机に三人で集まって、コンビニ弁当広げて、突っ伏して寝ていたよ。……何なんだよ、アレ。

A :いま皆さんが撮って来た映像を解析している最中なのですが、他に気になるところはありましたか。

B :他にというか、全部気味悪かった。マジで、あの建物だけは扱いを間違っちゃいけねぇ気がするんだ。あれが不可視生物の所為かどうかなんて俺にはわからねえが、少なくとも異常事態だ。

A :異常事態、という点については本部も同意見のようです。我々だけではなく他支部への協力要請もじきに始まる予定です。


[長い沈黙]


A :かなりお疲れのようですから、精神鑑定を受けて今日はもう休んでください。もしかしたらまたインタビューを受けていただくかもしれませんが……。

B :それは承知の上だ。[深いため息] 何なんだよ、不可視生物とやらは。


[インタビューは以上です]

重大性を鑑みて本件を『重大インシデント:absorption-existance』と命名。

これに伴い前回の報告書も一部訂正した。

当該施設は崩壊前と何ら変わらないレベルで復元されており、全ての設備は稼働可能。分解して内部を確認するものの、光を吸収する何らかの物質で満たされており、調査は不可能であった。

死亡したはずの研究員三名は遺伝子レベルで再現されており、本部に提出された直近の健康診断結果との誤差も僅かであった。

精密検査の際の採血でも反応を示さず昏睡状態を継続。自発呼吸や拍動は見られないものの、血中酸素濃度は活動に十分事足りていた。

エコー検査でも異常を発見することはできなかった。

万が一のために一連の検査は全て施設内で行こなった。

飼育されていた不可視生物については復元されていなかった。

榮支部施設群を[ae-α]とし、全ての機材・設備に小ナンバーを割り当てる。

復元されたそれぞれの人物についても、研究員を[ae-β]、██研究員を[ae-γ]、██研究員を[ae-δ]と仮称する。

榮支部施設群への処分が決定するまでの間、鎮圧・特殊作戦が可能な部隊を常駐させ、施設内部を6時間に一度、スリーマンセルで点検することを決定した。

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