パルッキャコ 危険度:XX
【外見】
一見すると黒いスーツを着ているように見える柄をしたネコです。ヒゲや尾はやけに短くなっています。
【生態】
現在弊支部にて管理、監視している一個体のみが確認されています。詳しくは後述する記録を参照してください。
パルッキャコは空間を引っ掻くことにより次元穴を開通、パルッキャコ自身が向かいたい地点へと移動を行います。この際、最大一メートル前方に開通させる様子が確認されています。また顎も非常に強く、実験の結果乗用車一台を一匹でひきました。
パルッキャコは懐いた相手へ贈るために"狩り"を行います。飼い猫が虫とか持ってくる現象に酷似していますが、この狩りの対象は大抵価値のあるが選ばれます。しかしながら「価値がある」の厳格基準は不明です。
【発見経緯】
恐らく弊支部支部長星柿が下記の日時以前、一匹の怪我をしていたネコを救助した際の個体がパルッキャコでした。
【盗難記録】
以下はパルッキャコによる一連の騒動時の記録です。
先に申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
日時:2026/06/25 06:23
場所:星覧支部支部長室
盗品:万年時計
被害者:国立科学博物館
詳細:弊支部支部長が出勤し、部屋の扉を開けた瞬間、見計らったかのように国立科学博物館所蔵の万年時計が現れました。また、部屋の入り口付近には当時未確認な形をした次元穴が存在していましたが数秒で消失しました。
対応:返却
コメント:すっごい怪しまれた…………何とか説明ついて良かったけど……
以降、被る項目を省略します
時刻:07:46
盗品:無気配生物視認用メガネ
被害者:不可視生物生態研究室本部(主に築舘浅葱研究員)
詳細:デスクワーク中だったところ唐突に装着させられました。一瞬眼鏡酔いしました
対応:返却。万年時計に比べ国相手ではない分気楽に返却できたのは幸いでした。
コメント:……にしても高いものを盗んでくる。500万だったよなこの眼鏡……重要文化財にいたってはいくらになるんだ……?
時刻:08:11
盗品:刀型不可視生物
被害者:星覧支部
詳細:デスクワークをしていたところ、机越しの床に置かれていました。万年時計と同じ箇所に帰還用と見られる次元穴が開かれていたため、同一犯であると判断
対応:元の位置に再安置しました。
コメント:困るなぁこういうことされると……この記事機密文書にしちゃうと色々まずいし……しかも魂入ってる個体じゃんこれ。私が書くのもなんだが、あの到底盗めないようなセキュリティをどうやって突破したんだ……?
そんでもって本物の刀……村正なら七百とかいく。ましてや世界一振となると……何はともあれ、次に持ってくるやつとかの予測ができるようになるような法則があるといいが……
時刻:09:05
盗品:C-0002-neyjitsu〈ヴァイオレットミーティア〉
被害者:寧日研究室支部
詳細:T-038-starkaki〈バカトソルウ〉の実験中、床からの高度2メートル時点に床に向けて次元穴を開き、パルッキャコが盗品を咥え着地してきました。そのままヴァイオレットミーティアを地面に対し垂直に立てたまま勝手に何処かに行ったためにヴァイオレットミーティアは倒れ、地面と触れあった瞬間に激しい斥力が働きました。結果支部長は軽傷、研究員3名が重症を負い、保管していたバカトソルウ胞子の約半分がダメになりました。
また、バカトソルウを犠牲にしたせめてもの報いか、この時になって初めてパルッキャコの姿が確認されました。
対応:返却。緩衝材を丁寧に十重に巻き付け、高危険度不可視生物運搬トラックを用い、斥力や引力対策を行いつつ運搬しました。
コメント:非常に重要な実験だったんだけど…………まぁ………………うん…………駄目だ無理、悲しい……泣きたい…………しかも私に着いてくるなら予定してた私参加の実験全中止だろこれ……
……えぇ…………うん…………まぁ、考察してみるけど多分予測とかそこらムズいな……他のところからも持ってこられちゃねぇ……全種把握してるわけじゃないから持ってき得るのも分かりかねるし。気まぐれの可能性もあるか……?
時刻:10:42(暫定)
盗品:T-0001-motgerコモンベレージャー記憶改竄ブランケット
被害者:HAGOROMO支部
詳細:映像を確認するに、パルッキャコが現れた途端、瞬時に支部長へとブランケットを被せています。凡そ三分後、入室してきた副支部長によりブランケットが支部長から離されました。
対応:返却。被らなければ大丈夫なようですが、念のため段ボールを二重にしてなるべく手から離れるようにしました。
コメント:助けてくださりありがとうございました副支部長……………………何故そんなに過去記録読むの止めるんです副支部長……? 何故か実験が中止されてるので何があったか確認したいのですが…………
時刻:11:02
盗品:I-0002-nasubi〈空離菌〉
被害者:茄水支部
詳細:次元穴から現れたパルッキャコが中心に空気に露出した状態のペトリ皿を設置し、足早に異次元へと移動しました。支部長が今度はなんだとか思いながら立ち上がろうとした途端、副支部長が凄まじい形相でそのペトリ皿を持ち上げ、冷凍庫へと安置してくれました。
また、一瞬だけパルッキャコの体に小規模な凍傷が見受けられました。
対応:返却。ペトリ皿の冷凍を継続させながら移動させましたが、活発化しないかヒヤヒヤしました。
コメント:確かあれって金庫にしまわれてるんだよな…………金庫にネコ一匹って入るものか……? 入ったとしても動けるようなものか……? …………まぁ何はともあれ感染しなくて良かった……
空離菌の一件から十分後、カメラ映像の解析により二つの事実が判明しました。一つが支部長室におけるパルッキャコの出現から異次元移動までの一通りの移動経路であり、以下がその経路です。

二つ目はパルッキャコの窃盗手口です。弊支部に設置されている専用飼育チャンバーの監視カメラの映像を確認したところ、
(1.対象の拘束器具を次元穴の開閉により破壊)
(2.センサー類を不明な原理で一時無効化。恐らくは回路系統に直接何らかを行っていると思われる)
3. 盗難対象の真下に次元穴を開通させ確保
(4.センサー類の蘇生)
という手順で窃盗を行っていることが判明しました。このことからパルッキャコにある程度の知性の存在が疑われます。
時刻:12:32
盗品:C-0002-BlacK〈ファウスノミティア〉 日本語個体
被害者:『黒烏の衆』支部
詳細:上記判明事実を確認後、デスクワークをしていたところ出現。当初はファウスノミティアを閉じたまま咥えての出現でしたが、パルッキャコは、丁寧にも儀式ページを開いた状態で机の上に設置した後そのまま帰還していきました。そのため接近時捕獲を試みた支部長は開かれたページを目にしてしまい、好奇心に刈られてしまいました。開かれたページは「Morax」の項であり、そのため仔牛の血液を確保するために支部長室から駆け出したところを、複数名の研究員に取り押さえられ、事無きを得ました。
対応:返却。当該生物の危険性を鑑み、弊支部内組織「星壊」の構成員を五名派遣し、一人が好奇心に冒されても他がカバーできるようにしました。
コメント:思考干渉だったり、単純な危険性だったり、あいつ自身を捕まえにくくするようなもの、生物ばかり盗んでくる……おかげで被害は増すばかりだよ本当に……! 最近買ったあれ使うには惜しいし……もうちょい頑張ってみるか……
時刻:13:01
盗品:C-0011-fanbi〈カルタス〉
被害者:永月支部
詳細:前回からあまり時間を空けず現れたため非常に警戒していましたが、支部長がパルッキャコの咥えていたものを目にした途端、歓喜によるものか頬を涙が伝いました。パルッキャコが盗品、カルタスを地面に置くと、支部長は捕獲をも忘れた様子で対象へと接近、その場に座り込み、FizzBuzzGameに挑戦し始めました。
対応:返却。返却中、担当研究員はカルタスと勝負をしていたためストレスが緩和され、その後の仕事効率が上がりました。戦績は10勝19敗です。
コメント:いやぁ……マジで神のように思えたね。あの長方形を見たときの感激は忘れない。まじで良心
時刻:14:12
盗品:悟りの具足一式
被害者:伊部野研究室支部(兼根源的感情講究会)
詳細:カルタスと勝負をしていたところ、パルッキャコが台車のようなものに乗せた悟りの具足を押しながら現れました。全ての装備品が丁寧に整理された状態で台車に置かれており、幸いにも傷などは見受けられませんでした。
また、捕獲しようと支部長が動くと、卑怯にもパルッキャコは悟りの具足を支部長との間になるような位置取りを続け、そのまま逃亡しました。
対応:返却。億が一のガス漏れ等を警戒し完全な密封を避けた梱包を行い、窓を開け、粗っぽい運転も一層避けました。
コメント:私がこの装備を使うにはあまりにも荷が重い……触れることさえ気を張るってのにあいつは盾にしやがってよぉ……
この際、通常の捕獲は困難であると判断され、支部長が副支部長に小銃鴫式射出装置インビジブル・スナイパー及びA.D.L弾の装備、狙撃を命じました。これは支部長が行った場合パルッキャコ前方からの狙撃となり避けられる可能性があり、且つ被害拡大の虞から支部長が下手に動けないため、自由に動け、横からの狙撃を行える副支部長に命じられました。
時刻:15:11
被害者:T-0013-forest〈ハエル=エクス=マキナ〉
詳細:警戒体制にて待機していたところ、案の定パルッキャコが現れました。副支部長は命じられた通りパルッキャコ目掛けA.D.L弾を発射しましたが、支部長がある違和感を抱きました。次元穴が二つ開通している。にもかかわらず現れているのはパルッキャコのみであるようだと。
放たれた弾丸は、障害ががなければパルッキャコに命中し、異次元移動を封じた上でパルッキャコを捕獲できていたでしょう。しかしながらそうではなかった。弾丸は何か固いものにぶつかったような音をならし、弾かれました。瞬間、驚いたパルッキャコは異次元へと逃亡してしまいました。
その後調査してみると、この際の被害者はハエル=エクス=マキナであり、かつ何故かこの際の出現位置がパルッキャコと副支部長の間に挟まれるようにしてハエルが出現していたために、弾丸はその右手により弾かれていたことが判明しました。
対応:弊支部内組織「天体開発」による身体検査の後送迎。途中で太平洋沖に立ち寄り、ちょっと力を借りてから便利屋支部「自由の翼」へと送りました。
コメント:油断した…………それにハエルの誘拐はちょーと、嫌な予感するな…………まぁハエルのおかげで予定外のショートカットができそうだからありがたくはあるが……
時刻:16:42
被害者:片喰支部支部長 喰み氏
詳細:一つの次元穴が開通。しかし今までとは異なり、床面に開通していました。そして、今度こそ仕留めようと副支部長がスナイパーライフルを構えたそのときです。床から這い出るように、プールから上がるようにして、恐らく誘拐対象である喰み氏が現れました。その両腕には抵抗したためか多くの爪痕が残されており、しきりに息を切らしていました。そんな喰み氏の両腕の中には、脱出しようと足掻いている一匹のネコがいました。
以下は音声記録の抜粋です。
星柿:喰みさん! そのネコ!
喰み:あぁ、このネコ星柿さんのところのでしたか……何とか捕まりましたよ……
星柿:……本当に…………本当にありがとうございます……!
対応:腕の治療及びインタビューの後送迎。その功績への感謝と受けた被害への謝罪から、弊支部より凡そ███万円程を片喰支部へと贈呈しました。
コメント:ほんっとうにありがとうございす!!!!
以上がパルッキャコによる一連の騒動です。この一連は「第三等級不可視生物事案 星覧支部第四号 怪盗にゃん魔」として登録されています。
【インタビュー記録】
以下は喰み氏の送迎前に行ったインタビューの音声記録です。
実施日時:2026/06/25(木) 18:30
担当者:星柿
対象:片喰支部支部長 喰み氏
【記録開始】
星柿:本日はありがとうございました。私の無力さを痛感した一日になりました…………インタビューの方もよろしくお願いします
喰み:よろしくお願いします。私の方も、中々良い放課後になりましたよ
星柿:あのネコの件は助かりました……こちらとしてもネコにスナイパーで狙撃するのは心苦しいので……相当厄介なあれ、どうやって捕まえたのですか?
喰み:そんな大それたことはしてませんよ。突然変なところに突き落とされたと思いきや変なネコが目の前に現れまして。そのネコが私を襲おうとしてきたので抵抗したらいつの間にか腕の中に
星柿:腕の傷も中々多いようで……お疲れさまでした
喰み:いえいえ。治療してもらったので大丈夫ですよ
星柿:それは良かった……異次元に落とされたんですよね。どんな感じでした?
喰み:もうひったすら真っ暗でしたね。何処まで言っても暗闇で平。まぁ変に地形があっても困ってたでしょうけど……
星柿:成る程成る程…………ありがとうございます。喰みさんとしても早く帰りたいでしょうしこの辺りで切り上げましょうか。ご協力、ほんっとうにありがとうございました
喰み:ありがとうございました。星柿さんもお疲れさまでした
【管理、対応】
現在パルッキャコは弊支部の専用飼育部屋で管理しています。パルッキャコの行動は常に研究員一名による監視がされ、手足の先にはカバーを装着させることにより実質的な異次元移動を封じています。またその有用性から二日に一度爪を切っています。
上記騒動の翌日には各自対応が完了しました。また、謝罪の意を込め全支部にむけてパルッキャコの爪含有茶葉「怪爪茶」を一回分(異次元への侵入、脱出を一回とする)、被害を受けた支部にはもう一回分を追加して順次送付します。怪爪茶は一杯飲むことによりパルッキャコの異次元移動を限定的に行使できるようになり、遠距離移動の助けになるでしょう。ただし怪爪茶を飲んで行く事になる異次元にこれといった生物は見受けられず、大人数での移動はあまり向かず、且つ次元穴開通から凡そ15秒経過で穴が閉じてしまうため注意してください。尚、怪爪茶は今後一往復分一万円程で販売する予定です。生産量が必然的に少なくなるため注文から到着まで期間が長くなると思われますがご了承くださいませ。
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